海老屋と日光湯波
奈良時代の末に開かれた日光山に、ゆばの製法が伝わったのは、山岳修行修験道が盛んになった鎌倉時代と考えられております。以来、ゆばは御祭礼の神饌や御会式の供物として、修行僧の精進食材として、日光の地と深くかかわってまいりました。江戸時代には門前町の鉢石宿でつくられる名産品として、日光の食文化とともに育まれてまいりましたのが日光湯波でございます。
海老屋長造は、明治5年(1872年)に 元根 御湯波所(元祖 日光湯波)の看板を受継ぎ、社寺をはじめ、山内御用邸、田母沢御用邸に献上の栄を賜りました。宮内省大膳職よりご注文賜った「たぐり湯波」など、当時の湯波づくりの技と味を御膳湯波の名称とともに今日まで代々伝えております。
昭和50年(1975年)5代目森敏一により、なめらかな口あたりを特徴にもつ日光湯波が開発されました。それが海老屋長造の「さしみ湯波」でございます。
宮内省大膳職よりご注文賜った「たぐり湯波」とともに、日光湯波料理(精進料理、懐石料理)に欠かせない一品となっております。
原料は甘みのつよい厳選された国内産の大豆と日光連山の女峰山を源流とする上質な水。消泡剤を使用することなく手づくりで製造される湯波は、大豆のふくよかな香りと豊かな味をあわせ持った上質な日光湯波として生まれます。
海老屋長造は美味しいとよろこんで頂ける日光湯波づくりに日々精進してまいります。